
OUR WORK ON THE ISLAND
与路島での取組
宿がなければ人は泊まれず、船が欠航すれば物も届かない。島に人が住み続けられる条件を、ひとつずつ確かめながら積み上げてきました。宿とビジターセンターの整備、島での過ごし方の設計、史跡の保全、交通と物流の実証、そして島の方々との連携です。
島に泊まれるようにする
大きな宿を一棟建てるのではなく、集落のなかに性格の異なる小さな施設を分けて置く。島全体をひとつの宿に見立てる考え方です。
CJ CASA aoao
鎮西村長の邸宅跡地にあった古民家を改修した一軒宿です。クールジャパンアワード2017を受賞した島に建つ宿として、組子建具、江戸唐紙、藍染杉、一坪茶室、檜風呂、畳といった、日本各地の受賞アイテムをしつらえています。欧米豪の個人旅行者に向けた宿です。
ナショナルパークスタイル古民家(National Park Style Cominca)
集落の公民館近くにある旧芳田光春邸を改修した古民家宿です。2020年12月に営業許可を取得し、2021年3月には鹿児島県のコロナ対策補助金を活用して改修しました。所在は鹿児島県大島郡瀬戸内町与路511。奄美大島のリピーターや離島好きの方に向けた、肩肘の張らない宿です。
ビジターセンター&Café&Stay Ole Ole
2025年7月に開業しました。古民家の旧信川邸を改装した施設で、宿泊機能をあわせ持っています。
与路島宿 denden
4軒目として整備を進めています。2026年10月の開業を予定しています。

島の玄関口をつくる ── Ole Ole
Ole Oleは2025年7月に開業した、日本一小さなビジターセンターです。古民家の旧信川邸を改装し、与路島を訪れた方が島の歴史や文化を学び、知ることのできる場としました。開所の様子は2025年7月31日の南海日日新聞にも紹介されています。
与路島ではじめてのカフェを兼ね備えています。宿泊のお客さまに加えて、日曜日と水曜日に日帰りで島を訪れる方への食の場でもあります。敷地内のOle Oleファーム、島内の野菜、烏骨鶏の卵などを食材にした提供を予定しています。
ビジターセンターの運営は、地元の与路島観光商工協会に委託しています。

島での過ごし方をつくる
取り組んでいるのは、島の自然と文化に触れていただくアクティビティです。空港付近から名瀬あたりまでで止まっていた観光の流れは、リピーターになるにつれて南下し、有人島や無人島のツアープランへと関心が移っています。旅なれた層に向けたアクティビティの開発は、これからの課題です。
島のなかの移動そのものも、体験のひとつです。国立公園エリアの自然環境保護に向けて、移動手段であり観光アクティビティでもあるソーラー電気三輪車を、与路島に第1号として導入しました。レンタルのかたちで、島をめぐる足として使っていただけるよう整えています。
島の沖に浮かぶ無人島のハミヤ島では、完全許可制による無人島グランピングをご案内しています。展望台のハミヤテラスは、縦19歩×横14歩の広さで、CJ CASA aoaoの専属展望台としてゲスト専用としていますが、災害時には開放します。
島に伝わるものを残す
神山(アブリヤ)には、琉球統治時代の大アムシャレ伝説が伝わります。2025年6月14日、昭和38年に津止合金の創始者が建立した津止家之太祖の墓に「大アムシャレ」「与路島先人之墓」の文字を追碑し、式典を行いました。碑文は、古仁屋与路会が2008年に建立した大アムシャレの碑文を要約したものです。法要と追碑の様子は、南海日日新聞2025年6月16日付で紹介されました。
2024年3月には、第17回JCF学生映画祭を初めて奄美・与路島で開催しました。島の子どもたちに向けた自然学習のプログラムも、地域の皆さまとともに続けています。

交通と物流の課題に挑む
船が欠航すれば、島へ渡ることも、島から戻ることも、物を届けることもできません。定期船の便数が限られる離島では、人と物の移動をどう確保するかが定住の可否に直結します。2021年、瀬戸内町農泊推進協議会との連携で、三つの実証実験を続けて実施しました。
海上ライドシェア
定期船の便数に依らない移動手段として、島と古仁屋を結ぶ海上の相乗りを試みました。
小型ドローンによる物資輸送
与路港からハミヤ島、与路港からアデツ海岸、与路港から島内の宿泊施設への搬送を試みました。近距離の無人島や、船でしか行けない地域への軽量物資の輸送に取り組んでいます。
陸上ライドシェア
島内に公共の足がないという課題に対し、車の相乗りによる移動を試みました。その後、島内の移動手段としてソーラー電気三輪車を導入しています。国立公園エリアの自然環境保護と、島での足の確保を同時に満たすための選択です。
島の産品をつくる
以下は、島の資源を生かした名産品・土産物として施策計画に掲げている項目です。いずれもこれからの取り組みです。
島にあるものから起こす、という発想で組み立てています。染め、茶、塩、米、菓子。あわせて、耕作放棄地の活用と、SAF(持続可能な航空燃料)の原料植物の栽培も施策計画に位置づけています。使われなくなった農地を、もう一度生産の場に戻す取り組みです。
2026年8月には、地域の農家の皆さまとともに農業生産法人を設立しました。ポンガミヤ(和名クロヨナ)の栽培を通じ、耕作放棄地の活用と新たな農業収入源の創出を目指します。
- 染め
- 草木染め・泥染め・暖簾
- 茶
- 月桃茶・サガリバナ茶
- 塩・米
- 与路塩・与路米
- 菓子
- 奄美黒糖焼酎ケーキ
- 苗木
- サガリバナ苗木販売
- 農地
- 耕作放棄地の活用/SAF原料植物の栽培

島の方々とともに
2020年6月、与路島観光商工協会が設立されました。島民、事業者、団体、行政が協働のもとで推進し、さまざまな地域資源を活用し、先代からの文化と素晴らしい自然を守りつつ、訪れる人にも住む人にとっても魅力ある島作りを目指す、というのが設立の主旨です。コロナ禍にあって、無医村島である与路島への適正な来島を呼びかけることも、設立の背景にありました。
2021年7月には、与路島と請島の両島を対象とする与路島請島シマづくり協会へと発展しました。2025年7月に開業したビジターセンターの運営も、与路島観光商工協会に委託しています。
構成メンバーには、ペンションマンディカシャヴィラ、ナショナルパークスタイル古民家といった与路島の事業者に加え、与路郵便局、池地郵便局が名を連ねています。
島へ渡る前と後を支える
古仁屋と与路島・請島を結ぶフェリーターミナル「せとうち海の駅」には、2021年7月26日にせとうちコンシェルジュデスクを設置しました。所在は鹿児島県大島郡瀬戸内町大字古仁屋字大湊26番地14号、営業日は毎週日曜と水曜日です。ツアーデスクの機能に加え、移住相談や空き家紹介、ソーラー電気三輪車の予約受付なども行っていく予定です。
船が欠航したときに滞在していただける宿泊施設を、瀬戸内町嘉鉄に整備します。2025年に土地を取得し、2027年の竣工を予定しています。アマミホシゾラフグやカテツブルーで知られる海に面した場所です。あわせて、馬車山近くの国道沿いにも、与路島へお越しになる方に向けた宿の用地を取得しています。